インド旅行にまつわるエトセトラ

2024年1月はじめてのインド旅行前後のおはなし。

祝祭

朝の肌寒い空気のなか、三輪のバイクタクシー、トゥクトゥクに乗り込み、いざOSHOアシュラムへ。

アシュラムがある周辺は、喧騒から離れた閑静な地域のようだ。
風を感じながら緑が多いエリアを走り抜け、見えてきたOSHOのアシュラムは、門構えから立派!

失礼ながらインドと聞いて思い浮かべたような、雑雑したり、または質素だったり、そんな印象は全くない。
さすがゾルバ・ザ・ブッダ。
世界中から人が集まるこの場所は、インドであってインドでないのだろう。


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まずは門の横にあるウェルカムセンターでIDカードの発行や支払い手続きを行う。
このウェルカムセンターに足を踏み入れた途端、空気が変わったのがわかった。
みんな、いっぺんにこのアシュラムが好きになったと思う。

磨き上げられた黒い石材(大理石?)の美しい床に、余分なものが一切ないシンプルでモダンな空間。
アシュラム側に面する一面は壁がなく、そのまま鯉が泳ぐ池に接しており、岩や樹々が配置された間からアシュラム内の様子が見える。
ウェイティングのためのシンプルな長いベンチが何本か並び、待ち時間のあいだ、わたしたちはそこに座りぼーっとしてその風景を眺めていた。

樹々の合間から差し込んだ朝の光が独特の空気に拡散され、柔らかく辺りを包み込む。
池の水面に反射された光は、天井に揺らぎ続ける美しい光の波紋を映し出し、風にそよぐ樹々からはヒラヒラとゆっくり葉が舞い降りていく。

外とはまるで時間の流れ方が違うような、静かな場所だった。

登録手続はスタッフと一対一で話しながら行った。
わたしはキュートな白人女性が対応してくれて、英語がさほど分からないので時間はかかったものの、何とかなった。

瞑想プログラムを受けるためのパスとゲストハウスについては、アテンドの方が対応してくれていたので、わたしたちは現金をアシュラム内で使うバウチャーに変換して、ローブ(ワンピース)のお買い物へ。

アシュラム内では現金でやり取りすることはなく、食事や雑貨などの買い物をバウチャーと呼ばれるもので行うのだ。
紙のカードに数字が書かれていて、使い終わったら線を引いて数字を消していく方式だ。

身につける服の色も決まっている。マルーン色と呼ばれる小豆色?で統一されており、上着やレギンスも同じマルーン色でないといけない。
持ち込んでも良いけど、違う色味だと使えないので、現地で揃えることにした。
男女とも何種類か形がある。長袖もあれば、ノースリーブもあるが、共通して丈が足首あたりまであるロングのワンピース型だ。

イブニングミーティングと呼ばれる夜の瞑想の時だけは、白いローブを着る必要があるので、これも購入する。

ゲストハウスにチェックインし、マルーン色のローブに着替えてアシュラムの一員らしくなったところで、オリエンテーションに参加。
アシュラムでの過ごし方やルールについて、ビデオを見て、説明を受ける。
日本人の方がボランティアで通訳をしてくれたので、とても助かった。

このプネーのアシュラムでは、日本人も割と見かけた。日本語とわかると声をかけてくれる。

アシュラム内では、スマートフォンは決まった場所以外、使用禁止。
電話をしたいときは、ゲストハウスや、レストランの脇などにある、決まった場所に行って使うこと。
各瞑想プログラムは五分前にガイダンスの動画が流れるので、初めて受けるプログラムは五分前に行くのが望ましいこと。
瞑想の会場には荷物を持ち込めないので、スマートフォンなどは入り口で預けることになること。
サイレント(沈黙)の瞑想では、咳やクシャミが出そうになったら、事前に気づいてしずかに立ち去ること(観察していれば気づけるはずだから)。
などなど。
その他いくつかの特徴的なプログラムについても話してくれて、アシュラム内の施設についても一緒にまわって紹介してくれた。

オリエンテーションが終わって、アシュラム内のカフェ(という名の売店)でチャイを飲んで一休みしたら、ちょうどお昼の十二時頃。
屋外の楕円形の広場で、ダンス・セレブレーションがはじまる時間だ。
それが何かはわからないけど、とにかく音楽が流れていて、踊って良いらしい。
ゆったりした曲もあれば、ノリノリの曲もある。

OSHOの瞑想は動いたり踊ったりするものがある、とは前情報で聞いていた。

瞑想とは違うけど、早速ダンスとは!
日本人には苦手な人が多いかもしれない。

わたしは普段から趣味で二種類のダンスを習っているけど、それでも日本で突然、さあ自由に踊れ、と言われたらモジモジしてしまう。
練習しているのは、きっちり振り付けのあるダンスをきっちり作品として踊ることであって、即興で踊ることではない。
そしてどうしたって人目が気になって、固まってしまう。

だけど、この場所は普通の場所ではない。
ここにいるのは、日常を脱ぎ捨て、同じローブを纏い、余分な荷物も金も持たず、ただ内側を観察して気づいていようとする人々、ただ“存在”として感じていようとする人々だ。
そういった意味で、誰も他人のことなど気にしていない。

そしてこのダンスは人に魅せるダンスではない。ただ生の歓びを、この瞬間を祝う踊りのはずだ。

わたしたちも身体感覚を大切にすることや、身体を動かすワークに親しんでるメンバーが多いし、このインドツアーに各々意図を持ってコミットして参加している。
それぞれ、すでに踊っている人々の中に混ざって、身体を動かし始めた。

自分の内側に入り、音楽とリズム、照りつける太陽と空とその場の人々を感じながら、身体の衝動に従って、気持ちよく動かす。
わたしはひたすら、飛び跳ねて動きまくった。
決まったステップなんて要らない、ただ足踏みしてジャンプして、エネルギーをぶっ放す。
それは普段したくても出来なかったこと、押さえ込んでいたものが解放されたようだった。

とても気持ちよかった。

そしてとにかく暑い!

朝の涼しさから一点、昼間は陽射しも強く、とても暑い。
太陽の下踊りまくって、熱中症になるのではないかというほど、のぼせ上がった。